投資のホンネ

利確して買い直すのは損?投資信託で数年やっていた私の矛盾

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先に結論: 「利確して買い直すのは不利になりやすい」とよく言われます。私もそう思います。 でも私は、それを知ったうえで数年間やめられませんでした。 しかも積立を止めていなかったので、「今は高い」と思って売る一方で、同じ商品を積立で買い続けていた——というのが、実際に起きていたことです。この記事は**「損だと分かっていても、人は合理性だけでは行動を変えない」という実例として、自分の過去を検証したもの**です。なぜやめられたのかは、10年以上たった今でも特定できていません。 分かったことと、分からないことを分けて書きます。

「利確して買い直す」で検索すると、返ってくる答えはだいたい同じです。

税制上、不利になります。NISAの枠がもったいないです。こまめな利確は基本NGです。

全部そのとおりだと思います。私も同じ意見です。

でも——私は投資を始めて2〜3年の頃、それを知ったうえで、何度もやっていました。

しかも今になって振り返ると、私がやっていたのは「売って、買い直す」という行為ですらなかったのかもしれません。買い直すも何も、私は買うのを止めていなかったからです。

この記事は「利確して買い直すのはやめましょう」という話ではありません。それを知っていてもやめられなかった人間が、当時なにを考えていたのか——その記録です。

この記事でわかること

  • なぜ「利確して買い直す」が不利になりやすいのか(最低限だけ
  • 私がそれを知りながら、なぜやっていたのか
  • 当時の私が抱えていた矛盾(相場は読めないと思いながら、売るときだけ読めるつもりでいた)
  • いま振り返って考えられること(確認できた事実と、確認できない仮説を分けて
  • 何が分からないままなのか

カブ太くん

利確して買い直すのって、そんなにダメなの?ちょっと利益が出てると、一回確定したくなるんだよね。

フクさん

その気持ちはよくわかるよ。ただね——ゼロさんも昔、同じことをしていたんだ。しかも税金で不利になることを知ったうえでね。今日は「なぜダメか」ではなく、なぜやめられなかったのかという話です。

私がやっていたこと——売る一方で、積立が同じものを買っていた

ポイント: 積立は一度も止めていませんでした。だから「今は高い」と思って売っても、その一方で同じ商品を積立で買い続けていたことになります。しかも買うほうは自動なので、何とも思っていませんでした。

投資を始めて2〜3年の頃の話です。

当時の私が持っていたのは投資信託でした。全世界株式(いわゆるオルカン)、S&P500、それに日経平均に連動する商品。毎月決まった日に、自動で積み立てる設定にしていました。

その一方で、私はときどき売っていました。

「そろそろ高いんじゃないか」と感じると、利益が出ている分を売って確定する。当時の私にとっては、ごく自然な行動でした。

ここまでなら、よくある話だと思います。問題は次です。

私は、積立を一度も止めていませんでした。

つまり、こういうことが起きていました。

  • 「今は高い」と判断して、売る
  • でも積立の設定はそのままなので、同じ商品が自動で買われる
  • つまり、売却と買付を並行して続けていたことになる

そして当時の私は、この矛盾にまったく気づいていませんでした。

理由ははっきりしています。買うほうが自動だったからです。売るのは自分で画面を操作するので記憶に残りますが、買付は勝手に行われるので、何とも思っていなかったのです。

冷静に見ると、この行動は私が売った目的を、ほとんど果たしていませんでした。

私の目的は「今は高いから、いまの利益をとっておく」ことでした。たしかに売った瞬間の利益は確定しています。でもその”高い”価格で、積立が同じ商品を買い続けていました。

つまり**「高いところを避けて持ち高を減らす」という目的は、ほとんど果たせていませんでした。** 売った分は、積立で買い戻していくからです。

⚠️ もちろん、売ったあとに値下がりしていれば結果的に得をした場面もあったはずで、損得の合計がどうだったかは、いまとなっては計算できません。 ただ確実に言えるのは、売るたびに税金を払っていたので、その分だけ手元の現金が減っていたということです。(だから必ず損をした、という意味ではありません

なぜやっていたのか①——売るときだけ「相場が読める」つもりだった

ポイント: 私が積立をしている理由は「相場は読めないから」です。それなのに売るときだけは、自分の相場観を信じていました。同じ人間の中に、正反対の前提が同居していました。

なぜ、こんなことをしていたのか。ずっとあとになって、ようやく言葉にできた理由がこれです。

「相場は読めない」と思っているから、私は積立をしています。

いつが高くて、いつが安いかは当てられない。だから毎月決まった日に、決まった額を機械的に買う。これがドルコスト平均法であり、私が積立を選んだ理由そのものです。

ところが、売るときの私はこう考えていました。

「今はきっと高い時期だ。だから、いまの利益はとっておいたほうがいい」

これは、相場が読めると言っているのと同じです。

整理すると、私は——

  • 買うときは「読めない」という前提に立ち
  • 売るときは「読める」という前提に立っていた

正反対の前提を、同時に持っていたことになります。

そして厄介なことに、この矛盾は自分では見えません。 買いと売りは別々の場面で起きるので、並べて比べる機会がないのです。私が気づくまでに数年かかったのも、そのせいだと思っています。

→ 買うタイミングを計るのをやめた話は、こちらに書いています:
投資歴10年の私がやっている積立設定と、続けるためにやめたこと

なぜやっていたのか②——「現金が入る感覚」がほしかった

ポイント: 損得だけでは説明がつきません。もう一つの理由は、定期的に現金が入ってくる感覚がほしかったということでした。

これは最近になって気づいたことです。

積立を続けていると、資産は増えていきます。でも増えているのは口座の数字だけで、今日の暮らしは何も変わりません。ときどき売って現金にすると、「増えた分を使える」という実感がありました。

今の私は、この欲求を別の形で満たしています。配当株です。効率だけを考えればインデックスの積立が上だとわかったうえで、「現金が入る楽しみ」のために配当株も持っています。

→ その話はこちらに書いています:
投資信託だけでいい?投資歴10年の私が配当株も持ち続ける理由と失敗

当時の「利確」は、いま振り返れば配当金に近い役割だったのかもしれません。非効率だとわかっていても、定期的に現金が入る感覚がほしかった——そう考えると、あの行動にも一応の説明がつきます。

ただしこれは、いまの私が過去を振り返って考えたことです。 当時そう自覚していたわけではありません。

そしてこの話は、記事の後半でもう一度出てきます。 「なぜやめられたのか」を考えたときに、同じところに行き着いたからです。

なぜ「不利になりやすい」と言われるのか(最低限だけ)

ポイント: ここは他の記事でも詳しく解説されています。この記事の主役ではないので、最低限だけ確認して先へ進みます。

  • 課税口座(特定口座など)で売却益が出れば、税金がかかる場合があります
  • NISAには、非課税で投資できる枠の制約があります
  • 売ったあとの値動きによっては、同じ値段で買い戻せないことがあります

⚠️ 税金やNISAの細かい扱いは、口座の種類や状況によって変わります。 正確なところは、国税庁のタックスアンサーや、ご利用の金融機関の案内でご確認ください。

私自身、いま同じことをしようとは思いません。 でも、この記事で書きたいのはそこではありません。 これだけはっきりした理由があるのに、なぜ私は数年もやめられなかったのか。 本題はここからです。

それでも、なぜやめられなかったのか

ポイント: 税金がかかることは最初から知っていました。それでも数年やめられませんでした。損得の情報では、行動が変わらなかったからです。

正直に書きます。

売れば税金が引かれることは、最初から知っていました。 引かれる割合も理解していました。それでも私は、数年間やめませんでした。

なぜか。振り返って思うのは、損得の情報では、私の行動は変わらなかったということです。

「利確して買い直すと損です」と読んでも、私の中では——

  • 損は、数字の話
  • 売りたい気持ちは、感情の話

として、別々の引き出しに入っていました。

実際、私は「損だからやめましょう」という記事を何度も読みました。それでもやめませんでした。 数字はいくらでも理解できるのに、売りたくなる気持ちのほうは、まったく動かなかったのです。

少なくとも、損得の情報では動きませんでした。 では何で動いたのか——ここが、自分でもうまく説明できないところです。次の章に書きます。

どうやってやめたのか——実は、自分でもよく分かっていません

ポイント: 期待させておいて申し訳ないのですが、はっきりしたきっかけはありません。 それどころか、この記事を書きながら「本当の理由は別かもしれない」と思い始めました。

損をして懲りたわけでも、誰かに言われたわけでもありません。続けているうちに、いつのまにかやらなくなった——劇的な話は何もありません。

思い当たる理由は、2つあります。

① 自分の行動が矛盾していると気づいたから

さきほど書いたとおりです。「相場は読めない」と思って積立をしているのに、売るときだけ読めるつもりでいた。そのおかしさに気づいてから、売る気がなくなりました。

② 定期的に現金が入る感覚を、別の形で満たすようになったから

これは、この記事を書きながら出てきた疑問です。

私はいま、配当株を持っています。定期的に現金が入ってくるという点では、当時の「利確」と役割が似ています。

だとすると私は「やめた」のではなく、同じ欲求を別の方法で満たすようになっただけかもしれません。

ただし、ここははっきり分けて書きます。

内容
確認できた事実当時、売ると現金が手に入るという実感があった/いま配当株を持っているいまは利確を繰り返していない
確認できないこと配当株を始めた時期利確をやめた時期との前後関係配当株が原因だったのかどうか

⚠️ つまり「配当株を始めたから利確をやめられた」とは言えません。 言えるのは「似た役割のものが、いまは別にある」という現在の状態までです。

正直に書きますが、どちらが本当の理由なのか、私にも分かりません。

確かめようとして、証券口座の取引履歴をさかのぼりました。 でも残っていたのは直近の数年分だけで、当時のことは分かりませんでした。

もし②が本当なら、私は「我慢してやめた」のではなかったことになります。 気づいたときには、同じ欲求が別のもので埋まっていた——そういう順番だったのかもしれません。

⚠️ ただしこれは確かめられていない自己分析です。 一般的にそうだ、という話ではありません。

ただ、振り返ると、変わったのは判断の対象でした。

判断していたこと
「今は高いか、安いか」を判断していた
相場は判断しない」と決めている

「判断しない」も、一つの判断です。 そう決めてしまえば、売るかどうかで迷う場面そのものがなくなります。

⚠️ もちろん、一生売らないという意味ではありません。 現金が必要になれば売りますし、そのときは堂々と売ります。やめたのは「なんとなく高い気がするから売る」という判断のほうです。

この記事の限界

私には、再現できる「やめる方法」がありません。 自分がそういうやめ方をしていないからです。

だから**「こうすればやめられます」とは書きません。** 確かめていないことを、方法として一般化したくないためです。

この記事から確実に言えるのは、私の場合、損得の説明だけでは行動が変わらなかった——それだけです。

やめて変わったこと——正直に、1つだけ

ポイント: 「資産が増えました」とは書けません。比べようがないからです。確かなのは、売るタイミングを考えなくてよくなったことだけです。

やめてよかったことを聞かれたら、正直なところ1つしか挙げられません。

売るタイミングを考えなくてよくなったことです。

資産が増えたかどうかは、わかりません。あのとき売らずに持ち続けていたら今どうなっていたのか、比べようがないからです。だから「やめたら増えました」とは書けません。

でも、考えなくてよくなったのは確かです。

「今は高いだろうか」「そろそろ確定したほうがいいだろうか」——この問いを、自分に投げなくなりました。 ついでに評価額を見る回数も減って、今は月1回程度です。

小さな変化に見えるかもしれません。でも投資を10年以上続けるうえで、自分にとってはこれがいちばん大きな変化でした。 迷う回数が減ったぶん、投資のことを考えている時間が短くなったからです。

よくある質問

Q. 投資信託を利確して買い直すと、どうなりますか?

特定口座なら、利益に約20%の税金がかかります。 その分だけ手元のお金が減った状態で、買い直すことになります。

さらに、売ったあとに値上がりしてしまえば、前より高い値段で買い直すことになります。安く買い戻せる保証はどこにもありません。

私の場合は、そもそも積立を止めていなかったので、売却と買付を並行して続けていました。 税金を払って、同じ商品を持ち続けていただけです。

Q. 利確して買い直すのは、NGですか?

私は「NGかどうか」では考えていません。 見ているのは「売る理由を、自分の言葉で言えるか」だけです。

現金が必要になった、資産の配分が崩れた——理由が言えるなら、私は迷わず売ります。

昔の私が言えなかったのは、まさにそこでした。「なんとなく高い気がする」しか理由がなく、それでいて積立では同じものを買い続けていたのです。

Q. 積立NISAで利確して買い直したら、どうなりますか?

NISAでは売却益に税金がかかりません。 ただし非課税で投資できる枠は無限ではなく、売った分の枠が使えるようになるのは翌年です。

つまり枠を使い切っている人にとっては、その年に投資できる金額を減らすことになります。「税金がかからないから自由」とまでは言えません。

⚠️ なお、2023年までの「つみたてNISA」で買った商品は、現行NISAの非課税保有限度額の外枠で管理されます。 そちらを売っても、いまのNISAの枠が増えるわけではありません。制度の細かい扱いは金融庁のNISA特設サイトでご確認ください。

Q. 売却して買い直したほうがいい場合はありますか?

目的がはっきりしているときは、あると思います。 資産の配分が大きく崩れているとき、別の商品に乗り換えたいとき、現金が必要なときなどです。

⚠️ ただし税金の調整(損益通算など)が目的の場合は、注意してください。 税務上の扱いは個別の条件によって変わり、私が自信を持って説明できる範囲を超えます。 国税庁の案内や、ご利用の金融機関・税務署でご確認ください。

Q. 積立をしながら、別で売買するのはダメですか?

ダメではありません。 ただし私の場合は同じ商品でやっていたので、単に打ち消し合っていただけでした。

私の場合は、積立の分には手を付けないと決めました。「土台は動かさない」と先に決めたことで、自分の場合は迷う場面が減りました。

まとめ:分かったことと、分からないこと

最後に、この記事の内容をまとめます。

分かったこと

  • 「利確して買い直すのは不利になりやすい」と言われるのは、課税口座では売却益に税金がかかる場合があること・NISAには非課税で投資できる枠の制約があること・売ったあとに値上がりすれば同じ値段で買い戻せないことによる
  • 私はそれを知ったうえで、数年やっていた。 損得の情報では、私の行動は変わらなかった
  • 私がやっていたのは「売って買い直す」ですらなく、積立を止めないまま、売却と買付を並行していた状態だった
  • 当時の私は、「相場は読めない」と思って積立をしているのに、売るときだけ読めるつもりでいた
  • 売った目的(高いところを避ける)は、ほとんど果たせていなかった

分からないこと

  • ⚠️ なぜやめられたのかは、10年以上たったいまも特定できていない。 思い当たるのは①矛盾に気づいたこと ②同じ欲求を別の形で満たすようになったことの2つだが、どちらが本当かは確かめられなかった
  • ⚠️ 配当株が理由だったのかも分からない。 始めた時期を確認できていないため。言えるのは「似た役割のものが、いまは別にある」という現在の状態まで

いま言えること

  • やめて変わったのは、売るタイミングを考えなくてよくなったこと。それだけ

もし今、同じことをしている方がいたら——やめなさい、とは言いません。 私も、言われてやめたわけではないので。

ただ一度だけ、自分がなぜ積立をしているのかを思い出してみてください。もし理由が「相場は読めないから」だとしたら、売るときの自分は、その前提とどうつながっているでしょうか。

私はそこに気づくまで、数年かかりました。 そしてなぜやめられたのかは、いまも分かっていません。

なお、税金や制度の扱いは、口座の種類やご状況によって異なります。詳しくは各金融機関のご案内や公式の情報をご確認ください。