先に結論: 新NISAが含み損(評価額マイナス)になっても、インデックスを長期・積立・余裕資金で運用しているなら、基本は”放置”でOKです。含み損は「まだ確定していない損」で、慌てて売るのが一番の失敗——売った瞬間に損が確定し、しかもNISAは損失を他の利益と相殺(損益通算)できず、税金の面で取り戻せません。むしろ下落は”安く買える時期”。ただし「急にお金が必要」「そもそも長期向きでない商品」など、見直すべき例外もあります。
「新NISAを始めたのに、評価額がマイナスになっている…このまま持っていて大丈夫?売ったほうがいい?」——相場が下がると、多くの人がこの不安に襲われます。
結論を先に言えば、多くの場合、答えは”慌てず、そのまま持つ”です。この記事では、なぜ慌てて売ってはいけないのか、基本は放置でよい理由、そしてそれでも売却・見直しを検討すべき例外まで、「判断基準」として整理します。
この記事でわかること
- 「含み損」は”まだ損していない”という大前提
- NISAで慌てて売るのが最も損な2つの理由
- なぜ基本は「放置」でよいのか
- それでも「見直す」べき例外パターン
大前提:「含み損」は、まだ損していない
まず、一番大事なことから。評価額がマイナスになっている状態を「含み損」と言いますが、これは**“まだ確定していない損”**です。
持っている資産の値段が下がっているだけで、売らなければ、損は現実のものになりません。逆に言えば、売った瞬間に、その損が”確定”します。
株や投資信託の価格は、上がったり下がったりを繰り返します。含み損は、その下がっている局面をたまたま切り取っているだけ。長期で持つ前提なら、一時的にマイナスになるのはごく普通のことです。
NISAで慌てて売るのが「最も損」な2つの理由
含み損を見て慌てて売る——これがNISAでは特に避けたい行動です。理由は2つあります。
ポイント: ①売った瞬間に損が確定する ②NISAの損失は「損益通算」できず、課税口座なら受けられる救済も使えない=損失をそのまま被る。さらに、売って空いた非課税枠が戻るのは翌年です。
理由①:損が確定してしまう 前述の通り、売らなければ含み損は”含み”のまま。売れば、それが確定した損失になります。そして相場は、下がった後にいつ急回復するか誰にも読めません。底で売って、回復前に市場から降りてしまう——これが一番もったいないパターンです。
理由②:NISAは「損益通算」ができない=損失をやわらげられない ここがNISA特有の重要ポイントです。通常の課税口座なら、損失が出ても**他の利益と相殺して税金を減らす「損益通算」**や、損を翌年以降に持ち越す「繰越控除」が使えます。ところが、NISA口座の損失は、これらが一切できません。つまり、NISAで確定させた損は、税金の面での救済がなく、損失をそのまま被ることになってしまうのです。
おまけに、売って空いた非課税枠が復活するのは翌年。焦って売ると、その年の貴重な枠も無駄づかいすることになります。
→ 税金・損益通算の仕組みを詳しく:
投資と税金の基礎知識|確定申告が必要なケースと特定口座の仕組み
なぜ、基本は「放置」でいいのか
ポイント: 低コストのインデックスを、長期・積立・余裕資金で持っているなら、下落は”通り道”。積立を止めなければ、下落局面はむしろ安く口数を買えるチャンスになります。
「放置」というと無責任に聞こえるかもしれませんが、低コストのインデックスファンドを、長期・積立・余裕資金で運用している場合は、これが理にかなった対応です。
- 全世界株やS&P500などの指数は、過去のどの暴落からも、時間をかけて回復してきました(※ただし回復までの期間は毎回違います。数ヶ月のときも、数年かかったときもあります)
- 積立を止めないことが大切。下がっている間も同じ金額で買い続けると、安い価格で多くの口数を買えるため、平均の買値が下がり、回復時の利益が伸びます(ドルコスト平均法)
つまり、下落は「怖い時期」ではなく、淡々と積み立てる人にとっては”仕込みの時期”。慌てて売るより、そのまま積立を続けるほうが、長期的には報われやすいのです。
→ なぜ積立を続けると強いのか:
ドルコスト平均法とは?積立投資が最強な理由をわかりやすく解説
→ 暴落時にやってはいけないこと:
株価暴落時にやってはいけないこと|長期投資家の正しい対応法
→ そもそも始める前に確認したい人はこちら:
NISAはやめたほうがいい?向かない人の5パターン
⚠️ ひとつ大事な注意——これは”分散されたインデックス(投信)“の話です。 個別株(成長投資枠で1社ずつ買う場合)は事情が違います。1つの会社の株は、指数のように「持ち続ければいずれ回復する」とは限りません(業績の悪化や不祥事で、下がったまま戻らないこともあります)。個別株の含み損は、市場全体の回復を待つのではなく、その会社の業績や将来性を見て判断してください。
むしろ下落は「安く買える時期」——ただし条件つき
余裕があるなら、下落局面は買い増しのチャンスにもなります。ただし、これには条件があります。運営者である私自身、コロナショックのとき、この”買い増し”で失敗も経験しています。
- 使う予定のない余裕資金の範囲だけで(生活防衛資金には絶対に手を出さない)
- 一度に突っ込まず、計画的に少しずつ(底は誰にも分からないので、焦って序盤で使い切らない)
- メインの積立は、何があっても止めない
「安く買えるチャンス」と分かっていても、焦って全部つぎ込むと、さらに下がった本当の底で動けなくなります。買い増すなら、あくまで冷静に、余裕資金で段階的に。
→ 私が実際に暴落を経験して学んだこと:
投資歴10年の私がコロナショックを経験した話|暴落で慌てなかった理由と失敗
それでも「見直す」べき例外パターン
ポイント: 「基本は放置」ですが、①急にお金が必要になった ②そもそも余裕資金でなかった ③長期保有に向かない商品だった ④精神的に耐えられない——このいずれかなら、売却や積立額の調整を考えます。
「絶対に売るな」というわけではありません。次のような場合は、冷静に見直す価値があります。
- 急にお金が必要になった:生活の事情でどうしても現金が要るなら、売却も選択肢。これは”狼狽売り”とは違う、正当な理由です
- そもそも余裕資金ではなかった:近く使う予定のお金を投資していたなら、無理せず見直しを。次からは余裕資金で
- 長期保有に向かない商品だった:テーマ株やレバレッジ型など、そもそもインデックスの長期積立と違って”持ち続ければ回復する”とは限らない商品なら、含み損のうちに整理する判断もあります
- 精神的にどうしても耐えられない:含み損で夜も眠れないなら、それはリスクの取りすぎのサイン。全部売るより、積立額を無理のない水準まで下げるほうが、続けやすくなります
→ 自分に合ったリスクの大きさを知る:
リスク許容度とは?自分に合った投資スタイルの見つけ方
判断のまとめ:あなたはどっち?
含み損が出たときの判断を、シンプルに整理すると——
| あなたの状況 | 基本の対応 |
|---|---|
| 低コストのインデックスを、長期・積立・余裕資金で運用している | 放置でOK(積立も継続。余力があれば計画的に買い増し) |
| 急にお金が必要/近く使うお金だった/長期向きでない商品/精神的に無理 | 見直しを検討(売却 or 積立額を下げる) |
つまり、多くの初心者にとっては「そのまま積立を続ける」が正解。含み損は、投資を続けていれば誰もが通る道です。
よくある質問
Q. 含み損が出ていますが、積立は続けるべきですか?
続けるのがおすすめです。下がっている局面こそ、同じ金額で多くの口数を買える”仕込みの時期”。積立を止めてしまうと、この安く買えるメリットを逃します。私自身、暴落のときも積立設定は変えませんでした。
Q. NISAの含み損は、確定申告で取り戻せますか?
取り戻せません。 NISA口座の損失は、他の口座の利益と相殺する「損益通算」や、翌年以降への「繰越控除」が使えないためです。これはNISA特有の注意点で、だからこそ”慌てて損を確定させない”ことが大切になります。
Q. どのくらい下がったら売るべきですか?
「◯%下がったら売る」という基準は、長期のインデックス投資にはなじみません。 下落率で機械的に売ると、底値圏で手放してしまいがちです。売却を考えるのは、下落率ではなく「お金が急に必要」「そもそも余裕資金でなかった」といった自分の事情が変わったときです。
Q. いつになったら回復しますか?
誰にも正確には分かりません。 過去の暴落は時間をかけて回復してきましたが、その期間は数ヶ月のことも、数年かかったこともあります。だからこそ、すぐに使う予定のない余裕資金で、長い目で持つことが大切です。
まとめ:含み損は「売らなければ、まだ損じゃない」
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 含み損は**“まだ確定していない損”**。売った瞬間に確定する
- NISAで慌てて売るのは最悪:損が確定+NISAは損益通算できず税金の救済もない+枠も翌年まで戻らない
- 低コストのインデックスを長期・積立・余裕資金で持っているなら、基本は放置+積立継続(余力があれば計画的に買い増し)
- ただし急な資金需要・余裕資金でなかった・長期向きでない商品・精神的に無理なら、見直しもあり
相場の下落は、投資を続けるかぎり必ず経験します。慌てて売らず、自分の状況を落ち着いて確認する——それだけで、多くの失敗は避けられます。