先に結論: 私が投資を始めた動機は、正直かなり不純でした。「働かずにお金が増えたらいいな」「たくさんのモニターでチャートを見る投資家に憧れる」——その程度です。最初に買ったのは毎月分配型の投資信託。「毎月お金が入ってくる」という響きに惹かれただけで、分配のたびに基準価額が下がることも、為替の影響も理解していませんでした。それでも「始めたこと自体は正解だった」と今は思っています。ただし——中身を理解してから始めてほしいというのが、10年たった今の本音です。
投資の記事を書いていると、さも昔から堅実だったように見えるかもしれません。でも実際は違います。
今回は、私が投資を始めた最初の1年を、恥ずかしい部分も含めて正直に振り返ります。これから始める方に「同じ道を通らなくていいですよ」とお伝えしたくて書きました。
この記事でわかること
- 私が投資を始めた、かなり不純な動機
- 最初に「毎月分配型」を選んでしまった理由(知識ゼロだと、なぜ魅力的に見えるのか)
- 買った直後に痛感した「売ることの難しさ」
- それでも「始めてよかった」と思う理由と、今の私の考え方
私が投資を始めた「不純な動機」
ポイント: 動機は不純でも構いません。 問題になるのは、そのあと「何を買うか」です。
正直に告白すると、私が投資を始めた動機は、まったく立派なものではありませんでした。
- 投資というもの自体への漠然とした興味
- 「株で儲ける」ことへの憧れ(たくさんのモニターを並べてチャートを見ている投資家のイメージ)
- 働かずにお金が増えたらいいな、という気持ち
……我ながら不純です。「老後2,000万円問題に備えて」とか「教育資金のために」といった、しっかりした理由ではありませんでした。
でも、これから始める方に伝えたいのは、動機が不純でも構わないということです。実際、多くの人が「なんとなくお金を増やしたい」から始めています。問題は動機ではなく、そのあと何を買うかでした。
始める前は「ゲーム感覚」で、怖さはゼロだった
意外に思われるかもしれませんが、始める前の私に**「損したらどうしよう」という怖さはありませんでした**。
むしろ、価格が上下すること自体がゲームのように面白そうに見えていました。そして、投資信託の基準価額(値段)のグラフを眺めながら、こんなことを考えていたのです。
「ここで買って、ここで売っていたら、これだけ増えたのに」
過去のチャートを見れば、どこが底でどこが天井かは一目瞭然です。だから「自分にもできそうだ」と思ってしまう。——これは今思えば、初心者が必ず通る落とし穴でした。
過去のグラフで「買い時・売り時」を当てるのは簡単です。でも未来のグラフは誰も持っていません。この当たり前のことを、私は実際に始めてから思い知ることになります。
最初に買ったのは「毎月分配型」だった
ポイント: 知識がないと、毎月分配型は「お得な商品」に見えてしまいます。
最初の一歩自体は、シンプルでした。証券口座を開設して、まずは少額で買ってみる。ここは今でも正しい進み方だったと思います。
問題は、何を買ったかでした。私が最初に選んだのは、毎月分配型の投資信託です。
理由は単純で、「毎月お金が入ってくる」ことに魅力を感じたから。それだけでした。毎月、口座にお金が振り込まれる——初心者の私には、これがとても魅力的に見えたのです。
でも、当時の私は大事なことを2つ理解していませんでした。
- ① 分配金が出るたびに、基準価額(投資信託の値段)が下がること:分配金は「どこかから湧いてくるお金」ではなく、自分が預けている資産から払い出されている部分があります。つまり「増えた分をもらう」とは限らないのです。
- ② 為替の影響を受けること:外貨建ての資産に投資する商品だったのに、為替のことをまったく考えていませんでした。円高になれば、それだけで評価額は目減りします。
**「毎月お金が入る=お得」**と単純に考えていたわけです。知識がないと、毎月分配型はこうして魅力的に見えてしまいます。
→ 毎月分配型の仕組みとデメリットはこちら:
毎月分配型ファンドは初心者に向かない?仕組みとデメリットを解説
→ 私が当時まったく分かっていなかった「為替」の影響について:
為替リスクとは?円安・円高が投資に与える影響をわかりやすく解説
→ 分配金の「受取」と「再投資」の違いについて:
投資信託の分配金とは?受取と再投資の違いを解説
始めた金額は10万円|「1%増えればランチ代」
最初に投資したのは、10万円です。
金額の根拠は、正直あまりありませんでした。ただ、こんな感覚は覚えています。
「1%増えれば1,000円。ランチ代くらいにはなるな」
いま振り返ると、この金額から始めたことは数少ない正解だったと思います。もし最初から数百万円を突っ込んでいたら、後述する失敗ではもっと大きな痛手を負っていたはずです。
知識がないうちは、失っても生活に困らない額から。これは今も変わらない私の考え方です。
買った直後に痛感した「売ることの難しさ」
ポイント: 買うのは一瞬でも、売るのは驚くほど難しい。 これが最初の1年で一番の学びでした。
さて、実際に買ってみてどうだったか。
買った直後、値段は上がりました。 ここで売っていれば利益が出ていたのですが、私はこう考えました。
「もっと上がるかもしれない」
そして、上がりませんでした。その後は下がっていったのです。
幸いマイナスになるほどではありませんでしたが、ここで新しい問題にぶつかります。一度”最高値”を見てしまうと、それより低い金額では売れなくなるのです。
「あのとき〇〇円だったのだから、そこまで戻ってから売りたい」——そう思っているうちに、売るタイミングを完全に見失いました。
始める前、私は過去のチャートを見ながら「ここで買ってここで売れば」と計算していました。でも実際にやってみると、最安値で買って最高値で売るなんて、まったくできない。当たり前のことですが、身をもって理解しました。
そして最初の1年で得た、一番大きな学びがこれです。
買うことより、売ることのほうが、はるかに難しい。
買うのは一瞬です。でも売るときには「もっと上がるかも」「あの値段まで戻るかも」という欲と後悔が邪魔をします。自分の感情が最大の敵になるのだと、このとき初めて知りました。
毎月分配型の”正体”に気づいたのは、5年以上たってから
ポイント: 知らないまま買うと、間違いに何年も気づけません。
最初に買った毎月分配型は、その後どうなったか。
5年以上、持ち続けました。 そして最終的に売却しています。
売るに至った理由は、基準価額がひたすら下がり続けていたことです。「毎月分配金はもらえているのに、なぜ資産の値段は下がり続けるのだろう」——そう思って調べてみて、ようやく気づきました。
受け取っていた分配金の多くが、**特別分配金(元本払戻金)**だったのです。
これは簡単に言うと、「利益から支払われた分配金」ではなく、「自分が預けたお金の払い戻し」です。自分のお金が戻ってきているだけなので、その分だけ基準価額は下がります。「毎月お金が入ってくる」の正体が、これだったわけです。
何年も気づかなかったのは、恥ずかしい限りです。でも裏を返せば、知らないまま買うと、何年も気づけないということでもあります。
→ 初心者がやりがちな失敗をまとめて知りたい方へ:
投資初心者がやりがちな7つの失敗とその対策
それでも「始めてよかった」と思う理由
ポイント: 始めたこと自体は正解でした。ただし、同じ遠回りを勧めるつもりはありません。
ここまで失敗ばかり書いてきましたが、**「あのとき投資を始めたこと自体は、正解だった」**と私は思っています。
理由は、実際に体験したからこそ、自分の間違いに気づけたからです。
もしあのまま「投資は怖いから」と悩み続けていたら、あるいは「もっと勉強してから」と本を読むだけで終わっていたら、私は今も何も分かっていなかったと思います。少額で実際にやってみたからこそ、毎月分配型の仕組みも、売ることの難しさも、身をもって知ることができました。
ただし——だからといって、読者のみなさんに「とりあえず買ってみよう」と勧めるつもりはありません。
このブログでは、こうして記事を書いています。先に読んで、中身を理解してから始めてもらえるなら、そのほうが絶対にいいからです。私と同じ遠回りをする必要は、まったくありません。
だから私は今、**「自分が理解できないものには投資しない」**という考え方を大切にしています。これは立派な哲学として最初から持っていたものではなく、理解しないまま買って失敗した経験から生まれたものです。
→ 遠回りの末に落ち着いた、今の私の積立設定はこちら:
投資歴10年の私がやっている積立設定と、続けるためにやめたこと
よくある質問
Q. 投資は「勉強してから」と「まず少額でやってみる」、どちらがいいですか?
私は両方だと思います。私自身は「まずやってみる」で失敗しましたが、それでも動いたから気づけた面もあります。おすすめは、基本的な仕組みを理解したうえで、失っても困らない少額から試してみること。理解と体験は、どちらか一方では足りません。
Q. 最初に買う商品はどう選べばいいですか?
「なぜ利益が出るのか」を自分の言葉で説明できるものを選ぶのが一つの目安です。私が毎月分配型で失敗したのは、「毎月お金が入る」という表面だけを見て、その原資がどこから来るのかを考えなかったからでした。仕組みが説明できない商品は、いったん保留にするのが安全です。
Q. 少額で始めると、意味がないのでは?
金額の大小より、**「値動きを自分ごととして経験できるか」**のほうが大事だと思います。10万円でも、値段が上下すると気持ちは動きます。その感覚を知っておくことが、後で金額が大きくなったときに効いてきます。
Q. 買ったあと、いつ売ればいいのか分かりません。
私も同じでした。だからこそ今は、**売り買いのタイミングを当てにいかない「積立」**を中心にしています。毎月決まった額を自動で買い続ければ、「いつ買うか」で悩む必要がありません。売るのも、必要になったときに必要な分だけ、と決めておくとラクになります。
→ 老後に向けた取り崩し方(出口戦略)はこちら:
投資の出口戦略|老後に備えた資産の取り崩し方と4%ルール
まとめ:動機は不純でもいい。でも中身は理解してから
最後に、この記事の内容をまとめます。
- 私の動機は「働かずにお金を増やしたい」という不純なもの。動機自体は不純でも構わないと思っている
- 最初に買ったのは毎月分配型。「毎月お金が入る」に惹かれただけで、基準価額が下がる仕組みも為替も理解していなかった
- 10万円から始めたのは数少ない正解。知識がないうちは、失っても困らない額から
- 買った直後に上がったが売れず、**「買うより売るほうが難しい」**と痛感した
- 5年以上たって、分配金の正体が**特別分配金(元本の払い戻し)**だと気づいた
- それでも始めたこと自体は正解。ただし読者には「理解してから始めてほしい」=これが「分からないものに投資しない」という今の考え方の原点
投資を始めるのに、立派な動機は必要ありません。でも、買うものの中身を理解することだけは、先に済ませてください。私の遠回りが、その参考になればうれしいです。
なお、ここで紹介したのはあくまで私個人の経験の一例で、特定の商品や投資法をおすすめするものではありません。ご自身の状況に合わせて、無理のない範囲でご検討ください。