先に結論: オルカン(全世界株式)も暴落は避けられません。過去には連動指数ベースで一時 約55%下落した局面もありました。ただし、どの暴落も時間をかけて回復してきました。暴落時にやるべきことは「売る」ことではなく「積立を続ける」ことです。
「オルカンは全世界に分散しているから暴落しても安心」——そんなイメージを持っていませんか? 残念ながら、これは正しくありません。オルカンも株式である以上、暴落するときはしっかり下がります。
大切なのは「下がるかどうか」ではなく「下がったときにどう振る舞うか」です。この記事では、過去の暴落でオルカン(と連動指数)がどれだけ下落し、どのくらいで回復したのかを実データで確認し、暴落時に取るべき行動を解説します。
この記事でわかること
- オルカンも暴落するという事実と、その下落幅の目安
- リーマン・コロナ・2022年の「下落幅」と「回復までの期間」
- 全世界分散は暴落に強いのか、弱いのか
- 暴落中に初心者がやりがちなNG行動と正しい行動
オルカンとはどんなファンド?まずは基本をおさらい
ポイント: オルカンは世界約50カ国・約3,000銘柄に分散投資するファンドですが、中身の約6割は米国株。だから「米国が大きく下げると、オルカンも一緒に下がる」性質があります。
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))は、世界中の株式にこれ1本でまとめて投資できる人気のインデックスファンドです。
- 世界 約50カ国・約3,000銘柄に分散
- 先進国だけでなく新興国も含む
- ただし、中身の 約60%は米国株(時価総額が大きいため)
「全世界に分散」と聞くと、リスクが薄く広がって暴落に強そうに思えます。たしかに一国だけに投資するより安全ですが、中身の6割が米国株なので、米国市場が大きく崩れるときはオルカンも連動して下がります。ここを誤解しないことが大切です。
→ eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)とは?期待リターン・特徴を解説
過去の暴落でオルカンはどれだけ下がった?回復にかかった期間
ポイント: 過去の暴落では、連動指数ベースで一時 約30〜55%下落しました。しかし、どの暴落も数ヶ月〜数年かけて回復し、その後は最高値を更新してきました。
実際の暴落でどれくらい下がったのかを見てみましょう。
なお、オルカン(ファンド)自体が誕生したのは 2018年10月です。それ以前の暴落(リーマンショックなど)には存在していなかったため、ここではオルカンが連動する指数「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」の動きで代用して説明します。中身はほぼ同じと考えて差し支えありません。
| 暴落 | 時期 | 下落幅の目安 | 回復までの期間の目安 |
|---|---|---|---|
| リーマンショック | 2007〜2009年 | 連動指数で 約55%下落 | 約4〜5年 |
| コロナショック | 2020年2〜3月 | 約1ヶ月で 約30%下落 | 約半年 |
| 米利上げ局面 | 2022年 | ドル建てで 約18%下落 | 約1〜2年 |
3つの暴落から読み取れることは、次の2点です。
- 暴落の「深さ」も「長さ」もバラバラ。コロナのように1ヶ月で急落して半年で戻るものもあれば、リーマンのように回復に4〜5年かかるものもあります。
- しかし、いずれも最終的には回復し、その後は最高値を更新してきた。これが全世界株式の歴史です。
ただし「過去に回復した」ことは、将来も必ず回復することを保証するものではありません。 あくまで歴史的な傾向として理解し、その上で長期の計画を立てることが大切です。
全世界に分散すると暴落に強い?それとも弱い?
ポイント: 全世界分散は「平常時のブレ」や「一国の不調」には強いですが、「世界同時株安」には逃げ場がありません。分散は暴落を防ぐのではなく、立ち直りやすくする仕組みです。
全世界分散には、暴落に対して強い面と弱い面の両方があります。正直に両方お伝えします。
強い面①:地域分散で「一国の不調」を薄められる
ある国の経済が落ち込んでも、世界全体に分散していれば、好調な国がカバーしてくれます。「特定の国だけに賭ける」リスクを避けられるのが全世界株式の強みです。
強い面②:通貨分散で円安が下落を和らげることがある
オルカンの中身は米ドルなど外貨建ての資産です。そのため、円安が進む局面では、円に換算した評価額が下支えされます。
実際、2022年は世界的な株安の年でしたが、同時に急激な円安(1ドル115円台→150円超)が進んだため、円で見たオルカンの評価額はそれほど大きく下がりませんでした。これは通貨分散の恩恵です。
ただし逆もあります。リーマンショックやコロナショックのように「株安と円高」が同時に来ると、円建ての下落はむしろ大きくなります。通貨は味方にも敵にもなる、と覚えておきましょう。
弱い面:世界同時株安には逃げ場がない
リーマンショックやコロナショックのように、世界中の株が一斉に下がる「世界同時株安」では、全世界に分散していても逃げ場はありません。株式100%である以上、3割・4割の下落は起こり得ます。
つまり、分散投資は「暴落そのものを防ぐ」ものではなく、「特定の国・企業の破綻で資産がゼロになるのを防ぎ、市場全体とともに立ち直りやすくする」仕組みなのです。
暴落中に初心者がやりがちなNG行動と正しい行動
ポイント: 暴落中の最大のNGは「狼狽売り」と「積立の停止」です。暴落は本来、安く口数を買い増せるチャンス。だからこそ積立は止めずに続けるのが正解です。
NG行動①:怖くなって売ってしまう(狼狽売り)
下落が怖くなって保有分を売ってしまう「狼狽売り(ろうばいうり)」は、長期投資で最も避けたい行動です。
なぜなら、売った瞬間に損失が確定してしまうからです。価格が戻ってくる可能性があるのに、下がった場面で手放すと、その後の回復の恩恵を一切受けられません。前の章でフクさんが言ったとおり、「底で買い直す」のはプロでも至難の業です。
NG行動②:暴落したから積立を止める
「これ以上下がるのが怖いから、積立を一時停止しよう」——これも逆効果になりがちです。
毎月一定額を積み立てる方法(ドル・コスト平均法)では、価格が下がっているときこそ同じ金額でより多くの口数を買えます。暴落中に積立を止めると、この「安く仕込めるチャンス」を自分で手放すことになります。
正しい行動:何もせず、積立を淡々と続ける
暴落時の正解は、シンプルに「いつも通り積立を続けて、あとは放っておく」ことです。毎日価格をチェックして一喜一憂せず、月1回程度の確認で十分。長期で見れば、今日の下落は小さなノイズに過ぎません。
→ 株価暴落時にやってはいけないこと|長期投資家の正しい対応法
まとめ:暴落はオルカン積立にとって「むしろチャンス」
ポイント: 暴落は避けられませんが、積立投資家にとっては「安く買い増せる時期」です。狼狽売りをせず、ドルコスト平均法で淡々と積立を続けた人が、回復後に最も報われてきました。
最後に、この記事の要点を整理します。
| 暴落についての誤解 | 実際のところ |
|---|---|
| オルカンは分散しているから暴落しない | 株式100%なので世界同時株安では3〜4割下がる |
| 一度暴落したら資産は戻らない | 過去の暴落はいずれ回復し最高値を更新してきた |
| 暴落したら売って逃げるべき | 売ると損失が確定。底で買い直すのは至難の業 |
| 暴落中は積立を止めるべき | 止めると安く買えるチャンスを逃す |
暴落は、株式投資をする限り必ず付き合っていくものです。大切なのは、暴落を「怖いもの」として避けることではなく、「定期的に訪れるバーゲンセール」と捉え直すことです。
毎月コツコツ積み立てるドル・コスト平均法なら、暴落時は自動的に「安くたくさん買う」ことになります。価格が下がるほど多くの口数を仕込めるため、その後の回復局面で大きく報われる可能性が高まります。
暴落のニュースに不安を感じたら、ぜひこの記事を思い出してください。やるべきことは「売る」ことではなく、「いつも通り積立を続ける」ことだけです。